初心者から中級者へのレベルアップを目指す時に気になるのがクラブのシャフト。しかし、いざカスタムしようと思っても、どのシャフトが自分に合っているのか、選び方に迷ってしまいますよね。

そこで今回はシャフトの選び方について解説します。今後、シャフトをカスタムしたゴルフクラブを使っていきたい方は必読のコラムです。スペックや種類について取り上げていますので、ぜひご参考ください。 ちなみにゴルフ雑誌『EVEN』の2021年11月号でも、シャフトの選び方について解説されていました。「4分類でハズさないシャフトフィッティング」と称した分類表は一見の価値アリ。気になる方は併せてチェックしてみてください。

シャフト選びに大事な5つのスペックは？

シャフトとは、ゴルフクラブのヘッドとグリップを繋いでいる棒状の部品のこと。クラブとシャフトは一般的にセットになっていますが、ゴルフを練習しているとシャフトをカスタムされる方も多くいます。というのも、シャフトで振り心地が変わり、スコアに大きく影響することがあるからです。
アマチュアゴルファーの場合、このシャフト選びが鬼門だと言われています。

そこでまず、シャフトのスペックの見方について確認したいと思います。 シャフトのスペックは次の5つ。意味や選び方についてそれぞれ解説していきます。

重量

シャフトの重さのことです。クラブの種類によって、適した重さの幅に違いがあります。例えばドライバー用のシャフトなら、40～70g前後の重量が一般的です。一方、アイアン用のシャフトだと90～130gが中心になります。

シャフトの重量が重すぎると、スイングした時に速くクラブを振ることができません。かといって軽すぎると、体幹を使わないスイングになりやすいという難点があります。シャフトの重量は、ヘッドスピードに合わせて選ぶのが理想です。

おすすめのシャフトの重量

ヘッドスピード（m/s）	重量（g）
～38	50～60
39～43	55～65
44～52	60～70
53～	65～75

長さ

文字通り、シャフトの長さのことです。グリップとヘッドがついた状態では、グリップの上の端からクラブのソールまでの長さがシャフトの長さに該当します。

シャフトの長さも、クラブの種類によって幅が微妙に異なっています。例えばドライバー用だと45～47インチ、フェアウェイウッド用だと42～44インチのシャフトが多いです。アイアンの場合は、番手に合わせてシャフトの長さが異なる「番手別設計」になっています。

シャフトは、長ければ長いほどヘッドスピードが速くなります。

具体的には、シャフトが1インチ長くなると、ヘッドスピードも1m/s速くなるそうです。しかし、同時にスイングウェイトが重くなる傾向があるため、人によっては振りづらくなります。このことから、シャフトの長さは重量と併せて選ぶのがおすすめです。迷ったら、まずは45インチから試してみてください。

フレックス

シャフトの硬さ・軟らかさを表しています。X、S、R、A、Lの4つのアルファベットで表記され、Xに近づくほど硬く、Lに近づくほど軟らかくなります。メーカーによっては、中間の硬さを持つシャフトを用意している場合もあります。この場合、例えばXとSの間の硬さであれば「XS」、SとRの間の硬さであれば「SR」などと表記します。

シャフトの硬さはたわみの大きさに関わります。硬いシャフトはたわみが小さいので飛距離は伸びにくいですが、安定性に優れています。

軟らかいシャフトはたわみが大きいので遠くまで飛ばしやすいですが、コントロールは難しいです。

適切なシャフトの硬さはヘッドスピードによって変わります。一般的な女性はL、男性はRを選んでおくとよいですよ。

おすすめのシャフトのフレックス

ヘッドスピード（m/s）	シャフトのフレックス
30～35	L
33～37	A
36～42	R
38～44	SR
42～50	S
48～55	X

キックポイント

シャフトのキックポイントはシャフトがもっともしなる部分を表しています。キックポイントは「先調子」「元調子」「中調子」「ダブルキック」の4つに分類されます。

それぞれのメリットは下記の表の通りです。初心者向けは先調子のシャフトで、上級者になるほど元調子が使いやすくなると言われています。

先調子	ボールがつかまりやすい
元調子	ボールが上がりにくい
中調子	オールマイティでタイミングをとりやすい
ダブルキック	タメが作りやすく、つかまりやすい

トルク

シャフトのトルクとは、ねじれやすさのことです。シャフトの先端から30～40mmの部分のねじれ度合いを数値化しています。トルクが高いシャフトはミスをしてもリカバーしてくれるため、安定性に優れています。一方、トルクが低いシャフトは打ちたい場所へと打てるため、コントロール性に優れています。

一般的に6.0以上になるとトルクが高い、3.0以下になるとトルクが低いと言われます。初心者の場合、まずはトルクが高いシャフトから使用し始めるのがおすすめです。

トルクが高いシャフト	安定性に優れている
トルクが低いシャフト	コントロール性に優れている

以上、シャフトのスペックの見方を解説しました。重量、長さ、フレックス、キックポイント、トルクは、総合的に見て自分に合ったシャフトを選ぶことが大切です。シャフトを選ぶ基準の1つとして、各スペックをチェックしてください。

目的に合わせて選ぶシャフトの種類

スペックに加えてもう1つ大切な項目は、シャフトの種類です。ゴルフクラブのシャフトは「カーボンシャフト」と「スチールシャフト」の2種類に分類されます。

カーボンシャフトとスチールシャフトは、それぞれ異なる目的で作られているシャフトです。目的に合わせて選ぶことになります。具体的には、より遠くへ飛ばしたいか、より正確に飛ばしたいかを考えて種類を選びます。

遠くへ飛ばしたいならカーボンシャフト

カーボンシャフトは「グラファイトシャフト」とも呼ばれます。樹脂と炭素繊維などを使って作られているシャフトです。より遠くへ飛ばすことを目的に作られていることから、飛距離性能に優れています。「飛距離が伸びない」とお悩みの場合は、カーボンシャフトを使うのがおすすめです。

以前は軽くて球筋が安定しないことから、カーボンシャフトは一部のゴルファーのみが愛用しているくらいで、それほど使用者は多くありませんでした。しかし近年は、重くてよくしなるカーボンシャフトが開発されていることから、徐々にカーボンシャフトを使用する方が増えています。プロゴルファーでも宮里 藍（みやざと あい）選手や渋野 日向子（しぶの ひなこ）選手が、スチールシャフトからカーボンシャフトへと変更しています。

宮里選手使用シャフト：TOUR AD 65（R）

宮里藍選手が2016年に使用したアイアン用のカーボンシャフト。2、3年の間パッティングが不調だった宮里藍選手が好調を取り戻した理由の1つとして、それまで使っていたスチールシャフトからTOUR AD 65へ変更したことが挙げられています。

TOUR AD 65は、カーボンシャフトながら60g台と比較的軽量で、飛距離と方向性を両立しているのが特徴です。振り抜き感を重視した設計は、アマチュアゴルファーからプロゴルファーまで、幅広いゴルファーにとって使いやすいシャフトとなっています。

重量	67g
長さ	約36～約39インチ
フレックス	R
キックポイント	中調子
トルク	2.7deg

宮里選手使用クラブ：ブリジストン TOUR B JGR ドライバー

ちなみに現在の宮里藍選手は、グラファイトデザイン ツアーAD MTをJGRドライバー（9.5°）とともに使用しています。

フェース面の反発をコントロールする新構造のSP-COR（サスペンションコア）を採用。マイルドな打感が特徴です。高初速・高弾道・低スピンも叶えるドライバー。

ブランド名	ブリヂストン
クラブ名	TOUR B　JGR　ドライバー
発売年	2019年
ロフト角	9.5°
ヘッド体積	460cc
シャフト	TOUR AD for JGR TG2-5 シャフト AiR Speeder JGR シャフト TOUR AD XC-5 シャフト Speeder 569 EVOLUTION VI シャフト Diamana ZF50 シャフト ATTAS 11　5 シャフト

渋野選手使用シャフト：VENTUS（5S）

2020年から渋野 日向子選手が使用しているカーボンシャフトです。PGAツアーでの使用率1位を目指して、トッププロの要求に応えるような設計がされています。たたけるフィーリングの飛距離とコントロール性能を両立しているシャフトです。
2020年、すでに飛距離を伸ばしていた渋野 日向子選手。VENTUSに変更した後は、飛距離に加えて安定性も両立させています。

重量	57.5g
長さ	46インチ
フレックス	5S
キックポイント	元調子
トルク	3.7deg

渋野選手使用クラブ：PING G425MAX フェアウェイウッド

渋野日向子選手の現在の愛用クラブは、PINGのクラブです。シャフトもフジクラ スピーダーNXプロトがメインになりました。

最大のたわみと初速を生む新テクノロジーを採用。さらにミスヒット時でも最適な弾道で、距離ロスを軽減します。ブレずに飛ばせるフェアウェイウッドです。

ブランド名	PING
クラブ名	ピン　G425MAX フェアウェイウッド
発売年	2020年
ロフト角	14.5°
ヘッド体積	176cc
シャフト	ALTA J CB SLATE PING TOUR 173-55 PING TOUR 173-65 PING TOUR 173-75 ALTA DISTANZA SPEEDER NX Speeder EVOLUTION VII TENSEI CK Pro Orange TENSEI Pro White 1K

正確に飛ばしたいならスチールシャフト

スチールシャフトはステンレス鋼で作られています。カーボンシャフトに比べて重量があり、しっかりとした感触を得られるのが特徴です。飛距離よりも正確性に重点を置いているシャフトです。「狙った場所へ打てない」とお悩みの場合は、スチールシャフトを使うのがおすすめです。

スチールシャフトは、カーボンシャフトに比べて使用者が多く人気があります。一方で、カーボンシャフトより高価な商品が多いため、きちんと自分に合うシャフトを見極めてから購入することが大切になります。

プロゴルファーだと小祝 さくら（こいわい さくら）選手がスチールシャフトを愛用しています。

小祝選手使用シャフト：ダイナミックゴールド 85

ダイナミックゴールド史上最軽量と言われるモデル。いかなる状況でも最高のパフォーマンスを発揮できるようデザインされています。80g台のシャフトにおいて、最大のボール初速、打出し角、飛距離を実現させているスチールシャフトです。

重量	86～87g
長さ	35～38.5インチ
フレックス	S200／R300
キックポイント	中調子
トルク	非公開

小祝選手使用クラブ：DUNLOP スリクソン ZX5 ドライバー

驚異の飛びとやさしさを実現したドライバー。剛性の高いエリアと低いエリアを交互に配置したREBOUND FRAMEが大きなたわみを生み出し、反発性能を大幅に向上させています。

ブランド名	ダンロップ
クラブ名	ダンロップ スリクソン ZX5 ドライバー
発売年	2020年
ロフト角	9.5°
ヘッド体積	200cc
シャフト	Diamana ZX50 カーボンシャフト Speeder 569 Evolution VII カーボンシャフト Diamana TB50 カーボンシャフト

シャフトカスタムで中級ゴルファーにレベルアップ！

脱・初心者を目指すなら、シャフトのカスタムはぜひ考えたいところ。自分に合ったシャフトなら、今以上のスコアアップを狙えること間違いナシですよ！
シャフトのスペック・種類をチェックして、スコアアップに繋がるシャフトと出会いましょう！！

よくある質問

Q.シャフトを選ぶ際の重要なポイントは？

A.以下の5つが重要です。

・重量
・長さ
・トルク
・キックポイント
・フレックス

Q.どんな種類のシャフトがある？

A.大きく分けて「カーボンシャフト」と「スチールシャフト」の二つの種類があります。飛距離を伸ばしたい場合はカーボンシャフトを、コントロールを重視したい場合はスチールシャフトを選ぶとよいでしょう。

Q.シャフトを変えることによって何が変わる？

A.振り心地が変わり、主にタイミングの取りやすさ。シャフトの重さやしなりやすさ、しなる部分、ねじれ具合などが変わります。スイングに違和感がある場合はリシャフトを検討してもよいでしょう。